ケイブンシャ文庫の「小松左京ショートショート全集 (3)」を読了。




 今回も中から1編を1ページ漫画にしてみました。

【コミPo】【1ページ漫画】「幽霊」


 夏はもうすぐ終わってしまいますが、幽霊ネタです。

●一行説明 兼 目次
 ネタバレなしで各作品を25文字以内で説明すると以下の通りです。
 並び順は初出順になっているようです。自分が読んだのはケイブンシャ文庫ですが、ハルキ文庫版でも掲載順はほぼ同じのようです。ただし「失業保険」「変貌」「にげた宇宙人」はハルキ文庫版のみに収録。

 「運命劇場」:妻子を養う彼を見てか、誰かが泣いてる気配を感じる
 「ミリイ」:コンピューターのミリイに彼女との交際を忠告される
 「レジャー地獄」:二年先まで分刻みで埋まるレジャーのスケジュール
 「まぼろしの二十一世紀」:二十一世紀になる瞬間を世界中が固唾をのんで見守る
 「満腹の星」:救命艇で宇宙船から脱出。辿り着いた星で食べ物を探す
 「星の王子さま」:王子まで向かうタクシーの中、私は宇宙人だと嘘をつく
 「高層都市の崩壊」:高層都市の基礎部分にひずみ。市長は専門家に相談
 「大器晩成」:他よりスローテンポな子。役に立つ人間になると院長
 「ふかなさけ」:ネットに仕込まれたプログラムによって様々な好待遇
 「ドーナッツ」:終電を逃し、夜の都内からひたすら歩いて返ろうとする
 「人生保険」:人生に絶望。ふと父から貰った『人生保険』に電話する
 「眠りたい!」:眠りたいという夢から醒めてもまだ眠りたいという夢
 「おみやげブーム」:久々に地球に戻ると、月の岩ブームで月が粉々
 「社内結婚」:ライバル会社の社員同士が熱愛。上司に反対される
 「一生に一度の月」:人類初月面着陸の生中継を忘れSF作家達は麻雀に熱中
 「雪どけ」:南極基地に手術設備がなく冷凍睡眠。目覚めると未来
 「すぐそこ」:田舎の山道で地元民に道を尋ねるも、道に迷い続ける
 「こちら“生きがい課”」:生きがいをプロデュースする課を設立した社長に取材
 「こちら“アホ課”」:超一流企業にアホであることを見込まれ、入社する
 「こちら“二十世紀課”」:M産業の二十世紀課は、昭和四十年そっくりそのまま
 「失業保険」:(ハルキ文庫版に収録)
 「変貌」:(ハルキ文庫版に収録)
 「午後のブリッジ」:食肉動物がほぼ絶滅した中、本物のステーキが出される
 「クロスカウンター」:アメリカの近くに日本そっくりのNOPPIN国が出現
 「都市を出る」:自然を求め山や海、空、砂漠と巡るが全てが都市化
 「いたずら」:機械をからかい、わざと間違った回答をし続けた児童達
 「幽霊」:幽霊が出るという噂の田舎の宿屋に友達と一緒に泊まる
 「「ばあや」を探せ」:クッキング・マシンの“ばあや”が下取りされてしまう
 「人魚姫の昇天」:脱出ポートから助け出した宇宙飛行士に人魚姫が恋する
 「人生旅行エージェント」:受験や就職など人生の進むコースについて相談できる
 「乗取り」:上空の飛行機が乗っ取られるが、操縦士はコンピュータ
 「イナバのシロウサギ10」:ワニザメに皮を剥かれたウサギ。そこに通りかかた神様
 「昔の火」:原子力の時代。昔の石油工場跡が爆発しひと騒動
 「秋の味覚」:大量のサンマが川をさかのぼり、汚いどぶにまで出現
 「早すぎる賀状」:二年先の未来の消印がされた年賀状が届けられる
 「足音」:足音の幻覚に悩んでた男、今度は足音が消えたと相談
 「プレイ・バック」:結婚記念日、百四十年前に撮った立体映像をみる二人
 「迷路」:住む家が見えているのにそこへ続く道が見つからない
 「黄金色のスポーツカー」:一部開通の高速道路に出現する黄金の車に勝負し続ける
 「創造の喜び」:最小の工数で人体下部を覆う衣料を発明し喜びを味わう
 「廃墟の星にて」:親ザルが子ザルにヒトが滅んだ顛末を話して聞かせる
 「仕事預けます」:自動販売化されたレストランやスーツ店
 「生きがい銀行」:算出された安全度は高いが、怪しい融資申し込みを発見
 「手相」:易者に手相を見てもらうが、どの易者も驚く
 「中毒」:鯉のぼりが次々と空猫に食べられてしまう
 「休養」:医者に二ヶ月休むよう言われるも、休めない会社重役
 「誤配」:部屋に出た幽霊。まちがって出た証明の判を押していく
 「消えた預金」:個人識別が万全の銀行口座から何者かが預金引き落とし
 「海よさらば」:庭の芝生に毎日水をやっていたら、魚が住みつくように
 「落しもの」:交番に届けられた大金入りの包み。落とし主も現れる
 「プライベート・マネー」:「現金」を知らない若い社員に次長がその魅力を教える
 「やせたい王様」:運動しても食事を減らさないと痩せないと侍医が具申
 「むすんでひらいて」:高齢者の学校への再入学が流行。ついに保育園に再入園
 「一日一屁」:鎌倉の大仏様がくしゃみした拍子に屁もしてしまう
 「養老年金」:入金の形跡がないのに預金が増えていく謎の無記名口座
 「むかしばなし」:お婆さんへのインタビュー。大昔に犯した罪を語りだす
 「再建」:子供のために薬を渡そうとするが母親はきっぱり断る
 「もみじ」:女性の顔の片頬に紅葉がはりついていた
 「告白」:付き合っていた彼女に実は百四十歳であることを告白
 「宇宙に嫁ぐ」:結婚する娘のヴァージン・ドクターはやらない花婿
 「高みに挑む」:地上をはなれ気圧の低い上空へ向おうとする冒険家
 「宇宙鉱山」:金属質宇宙塵の中を宇宙船で進み、なんとか帰還
 「空のゆきずりに」:高度二千メートルで布のような三メートルの帯を拾う
 「炬燵の中の月」:こたつの底が月面と直通。アメリカの探検隊員が出現
 「適応」:その星の巨大植物に命じられて、花粉を運ばされる
 「因果応報」:あの世のアメリカでは、連日連夜ベトコンが空爆
 「観光立星」:地球征服にやって来た宇宙人。熱烈な客引きにあう
 「人生の絵」:絵のように見えるが、実は毎日少しずつ動くテレビ
 「ざくろ。」:ざくろは鬼子母神が人肉のかわりに食べたという
 「にげた宇宙人」:(ハルキ文庫版に収録)

 ショートショート全集の(1)と(2)ではサンケイスポーツの掲載分が多かったですが、(3)になると朝日新聞に掲載されたものが増えています。朝日新聞掲載分は文字数が600文字とショートショートとしてもかなり短い部類となってます。長さが変わると書き方が変わり、そして作品の雰囲気も変わるようです。そのため(1)、(2)と違う雰囲気の作品が多いです。この朝日新聞掲載分は、『宇宙人のしゅくだい』というタイトルで、講談社の「青い鳥文庫」から出版されているようです。

 ショートショート全集(3)の収録作品で一番印象に残った作品は「一生に一度の月」です。
 アポロ計画による人類初の月面着陸を生中継で見ようとSF作家4人(小松左京、星新一、豊田有恒、平井和正)が集まるが、4人集まったばかりに麻雀を始めてしまい、月面着陸の瞬間を見逃してしまう話。その際、小松左京はピンズの九蓮宝燈をアガり、オチはそれとタイトルをかけたダジャレ落ちになってます。
 印象に残った理由は、実在の人物が実名で登場し、実際の出来事と絡められ、そして(おそらく)実話だからだと思います。

 今回の分はハルキ文庫版だと〈4〉と〈5〉に収録されています。