『本陣殺人事件』(横溝正史)を読了。




 『本陣殺人事件』は金田一耕助が初登場する作品です。角川文庫の金田一耕助ファイルシリーズの順番では、なぜかこれが2番目となってます。
 なお表題作の『本陣殺人事件』以外にも『車井戸はなぜ軋る』『黒猫亭事件』の合計三編が収録されてます。

■『本陣殺人事件』
 「密室の殺人」をテーマにした作品です。日本の家屋を使った密室トリックはこれが初だそうです。
 これは金田一耕助が登場する最初の作品でもありますが、金田一耕助がアメリカにいた時代、薬物に溺れていたというのに驚きました。


■『車井戸はなぜ軋る』
 『犬神家の一族』のプロトタイプともとれる作品です。
 本位田家の長男と、腹違いで他所の家で育てられた男。この二人は年齢が近いことや父親が同じこともあり瓜二つ。二人は太平洋戦争に徴兵されるが、復員してきたのは本位田家の長男の方だけだった。だがその長男は両目を失明したせいか性格が変わってしまった様子。もしや腹違いの男が成りすましているのではないか?という疑惑が浮かび上がるという物語です。
 神社に奉納した手形から本人かどうか確認するなど『犬神家の一族』との共通点があります。
 元々は金田一耕助は登場しない作品だったそうですが、金田一耕助がこの事件の資料を入手してそれを語り手(作者)に渡したという形にして登場させています。


■『黒猫亭事件』
 「顔のない屍体」をテーマにして作られた作品です。作品の冒頭で「顔のない屍体」について解説しているのですが、なんと解決法まで書かれていたりします。以下はその部分の引用です。
これは被害者と加害者とがいれかわっているのだなと、すぐそう考えても、十中八九まず間違いはない。即ち、「顔のない屍体」の場合では、いつも、被害者であると信じられていたAは、その実被害者ではなくて犯人であり、犯人と思われているB──そのBは当然、行く方をくらましているということになっている──これが、屍体の御当人、即ち被害者である。と、いうのが、少数の例外はあるとしても、いままでこのテーマを取り扱った探偵小説の、たいていの場合の解決法である。
 いきなり被害者と加害者が入れ替わっているとバラしています。しかもこれ以外にもバラしているというのが……(これ以上はネタバレのため書きません)。


■4コマ漫画
 金田一さんが密室トリックの説明を長々としているのを読んでいて、こんなことを思ってしまった。
【4コマ】『本陣殺人事件』を読んでこう思った