『ウィークエンド・シャッフル』(筒井康隆)を読了。
次の13編が収録された短編集です。
『佇むひと』
『如菩薩団』
『「蝶」の硫黄島』
『ジャップ鳥』
『旗色不鮮明』
『弁天さま』
『モダン・シュニッツラー』
『その情報は暗号』
『生きている脳』
『碧い底』
『犬の町』
『さなぎ』
『ウィークエンド・シャッフル』
これ以下は、内容紹介と感想のようなものです。ネタバレもあるかもしれないので注意。
『佇むひと』
体制に反抗的な言動や行動があった者は人柱というものにされてしまう世界。人柱になると次第に植物化し、ついには一本の木となってしまう。そして主人公の妻も人柱にされていた。本当は会いに行ってはいけないのだが、主人公はこっそり会っては話しかけようとする、という哀しい物語。
筒井康隆作品には奥さん思いの旦那さんがよく登場するのだが、きっと作者自身の思いが反映されているだのと思う。
『如菩薩団』
主婦窃盗団の話。
『「蝶」の硫黄島』
「蝶」という文壇バーにて硫黄島の戦いの話が盛り上がる話。
『ジャップ鳥』
イタリア訪問中に作ったガールフレンド。彼女からジャップ鳥なる鳥が最近世界中で発生して話題になていることを教えられる。ジャップ鳥を通して日本人を風刺する話。
作中にマラマッドの小説『ユダヤ鳥』の名前が出てくるので、おそらくそれをモチーフにして書かれたのだと思う。
『旗色不鮮明』
主人公は作家をしており、どの政党にも肩入れしないと厳に決めていた。だが主人公を自分の陣営に引き込もうとする連中によって、主人公は右往左往することとなるドタバタ劇。
おそらく作者の実体験を基にしているのではないかと思う。
『弁天さま』
家に弁天さまが訪れるが、下の画像のように伏字にしなければいけない事態になってしまう。
最後は“三和土(たたき)で、女房はおれを叩きのめした”という地口オチ。
『モダン・シュニッツラー』
様々なカップリングが繰り広げれる短編小説。宇宙飛行士とダッチ・ロボット、ダッチ・ロボットと農夫と数珠続きにカップリングされていくのだが、ついには下の画像のような組み合わせになり、謎の言語で会話を始めてしまう。
この謎の言語には法則があるようなので、もしかしたら解読できるんじゃないかと思う。
『その情報は暗号』
スパイもの。主人公は必死に暗号を守り通そうとするが、最後は自らの命を絶って暗号を闇に葬ってしまう。
肝心の暗号がアレなのは、ギャグの可能性もあるが、主人公が囮だった可能性も考えられなくはない。
『生きている脳』
SFショートショート。余命一ヶ月の資産家の男。親族一同は遺産相続で大揉めとなっている。これでは死んでも死にきれないと思った男は医者に相談する。医者は脳だけを取り出して保存するという方法を提案。ただしこれは世界初の試みで多大な出資が必要である。男はそれに賭けることとする。いよいよ保存施設も完成し、男の脳は取りだされるのだが、その結果は悲惨なものとなってしまう……。
ラストの悲惨度は同作者の『お助け』よりも上かもしれない。
『碧い底』
海の底に沈んでしまった世界。人々はエラを付けて生活している。東京にやってきた主人公はまだエラに馴染めておらず、時々海面から顔を出さない息苦しくてしょうがない。しかし東京には海面がほとんど残っていなかったという話。
『犬の町』
小さな町に訪れた主人公。目についたものを淡々と観察する純文学風の物語。
“孤独のグルメごっこ”と説明すれば分かる人には分かるかもしれない。
『さなぎ』
反抗的な若者を「さなぎセンター」(正式名「疑似冬眠感化センター」)に三年間収容することで矯正できるようになった世界。親に口答えして反抗的な態度を取ると、警察に連絡されてさなぎセンターに入れられてしまう。貴重な青春の三年間を疑似冬眠なんぞで無駄にはしたくない。主人公は父親になじられたり暴力を振るわれても心の中で「復讐シテヤルゾ」と誓いながらひたすら耐え続けるのだが……。いわゆる負の連鎖オチ。
『ウィークエンド・シャッフル』
主人公は主婦。週末のある日、子供を誘拐したとの脅迫電話がかかってくる。それだけでも一大事なのに、そこへ強盗が押し入ってきたり、旧友三人組が押しかけてきて強盗を夫だと誤魔化すはめになったり、夫が車に撥ねられたと病院から連絡が入ったり、夫の同僚がやって来て夫の横領を告発すると言われたりと、とにかく次から次へと事態が急変するドタバタ劇。
最後は、その他大勢の多大な犠牲のもと、主人公夫婦だけがのうのうとハッピーエンドになるのだが、これには強烈なブラックユーモアを感じた。
ちなみにこれは映画化されているらしい。これをどのように映画化したのかちょっと気になる。
以上13編。
体制に反抗的な言動や行動があった者は人柱というものにされてしまう世界。人柱になると次第に植物化し、ついには一本の木となってしまう。そして主人公の妻も人柱にされていた。本当は会いに行ってはいけないのだが、主人公はこっそり会っては話しかけようとする、という哀しい物語。
筒井康隆作品には奥さん思いの旦那さんがよく登場するのだが、きっと作者自身の思いが反映されているだのと思う。
『如菩薩団』
主婦窃盗団の話。
『「蝶」の硫黄島』
「蝶」という文壇バーにて硫黄島の戦いの話が盛り上がる話。
『ジャップ鳥』
イタリア訪問中に作ったガールフレンド。彼女からジャップ鳥なる鳥が最近世界中で発生して話題になていることを教えられる。ジャップ鳥を通して日本人を風刺する話。
作中にマラマッドの小説『ユダヤ鳥』の名前が出てくるので、おそらくそれをモチーフにして書かれたのだと思う。
『旗色不鮮明』
主人公は作家をしており、どの政党にも肩入れしないと厳に決めていた。だが主人公を自分の陣営に引き込もうとする連中によって、主人公は右往左往することとなるドタバタ劇。
おそらく作者の実体験を基にしているのではないかと思う。
『弁天さま』
家に弁天さまが訪れるが、下の画像のように伏字にしなければいけない事態になってしまう。
最後は“三和土(たたき)で、女房はおれを叩きのめした”という地口オチ。
『モダン・シュニッツラー』
様々なカップリングが繰り広げれる短編小説。宇宙飛行士とダッチ・ロボット、ダッチ・ロボットと農夫と数珠続きにカップリングされていくのだが、ついには下の画像のような組み合わせになり、謎の言語で会話を始めてしまう。
この謎の言語には法則があるようなので、もしかしたら解読できるんじゃないかと思う。
『その情報は暗号』
スパイもの。主人公は必死に暗号を守り通そうとするが、最後は自らの命を絶って暗号を闇に葬ってしまう。
肝心の暗号がアレなのは、ギャグの可能性もあるが、主人公が囮だった可能性も考えられなくはない。
『生きている脳』
SFショートショート。余命一ヶ月の資産家の男。親族一同は遺産相続で大揉めとなっている。これでは死んでも死にきれないと思った男は医者に相談する。医者は脳だけを取り出して保存するという方法を提案。ただしこれは世界初の試みで多大な出資が必要である。男はそれに賭けることとする。いよいよ保存施設も完成し、男の脳は取りだされるのだが、その結果は悲惨なものとなってしまう……。
ラストの悲惨度は同作者の『お助け』よりも上かもしれない。
『碧い底』
海の底に沈んでしまった世界。人々はエラを付けて生活している。東京にやってきた主人公はまだエラに馴染めておらず、時々海面から顔を出さない息苦しくてしょうがない。しかし東京には海面がほとんど残っていなかったという話。
『犬の町』
小さな町に訪れた主人公。目についたものを淡々と観察する純文学風の物語。
“孤独のグルメごっこ”と説明すれば分かる人には分かるかもしれない。
『さなぎ』
反抗的な若者を「さなぎセンター」(正式名「疑似冬眠感化センター」)に三年間収容することで矯正できるようになった世界。親に口答えして反抗的な態度を取ると、警察に連絡されてさなぎセンターに入れられてしまう。貴重な青春の三年間を疑似冬眠なんぞで無駄にはしたくない。主人公は父親になじられたり暴力を振るわれても心の中で「復讐シテヤルゾ」と誓いながらひたすら耐え続けるのだが……。いわゆる負の連鎖オチ。
『ウィークエンド・シャッフル』
主人公は主婦。週末のある日、子供を誘拐したとの脅迫電話がかかってくる。それだけでも一大事なのに、そこへ強盗が押し入ってきたり、旧友三人組が押しかけてきて強盗を夫だと誤魔化すはめになったり、夫が車に撥ねられたと病院から連絡が入ったり、夫の同僚がやって来て夫の横領を告発すると言われたりと、とにかく次から次へと事態が急変するドタバタ劇。
最後は、その他大勢の多大な犠牲のもと、主人公夫婦だけがのうのうとハッピーエンドになるのだが、これには強烈なブラックユーモアを感じた。
ちなみにこれは映画化されているらしい。これをどのように映画化したのかちょっと気になる。
以上13編。
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