『にぎやかな未来』(筒井康隆)を読了。

にぎやかな未来 (角川文庫)
筒井 康隆
KADOKAWA
2016-06-18



 ということで中から1編のあらすじを1ページ漫画で紹介。

【コミPo】「にぎやかな未来」


 ネットを見ていると、星新一作品だと間違って記憶していてこのタイトルが何だったか質問している人をたまーに見かけますが、筒井康隆作品です。
 無音の曲については『4分33秒』というのが実際にあったりします。
 4分33秒 - Wikipedia

●一行説明
 ネタバレなしで収録されている各作品を25文字以内で説明すると以下の通りです。

 「超能力」:おじさんに金をせびりに行くと、心の読み合いとなる
 「帰郷」:地球に帰郷した探検隊。季節があべこべなのに気づく
 「星は生きている」:人類未踏の星。それ自身が巨大な生物らしい
 「怪物たちの夜」:刑事が追う犯人の特徴は、腕が三本、指が六本
 「逃げろ」:10年後の俺に殺されるからと俺を殺しに来た青年
 「事業」:あるミュータントを観察した実験ノート
 「悪魔の契約」:悪魔との契約で大実力者となり、ついに寿命がつきる
 「わかれ」:妻との別れなので上司を脅して指輪を買う
 「最終兵器の漂流」:北極に隠してあった最終兵器が氷山ごと漂流する
 「腸はどこへいった」:三か月前から大便が出ないが、食欲旺盛
 「亭主調理法」:亭主を刺して殺してしまう
 「我輩の執念」:公団住宅の入居募集に落ち続けた男に遺産が舞い込む
 「幸福ですか?」:テレビの街頭インタビューを受け、手厚く答える
 「人形のいる街」:喫茶店でタレント同士のゴシップが企まれる
 「007入社す」:ジェームス・ボンドそっくりの新人が入社
 「踊る星」:踊り続ける星を発見した探査員がマスコミに転身
 「地下鉄の笑い」:IQ140以上ないとわからないユーモアポスター
 「ながい話」:宇宙教信者というお婆さんの話が止まらない
 「スペードの女王」:憧れの女性リリーを賭けたポーカー
 「欲望」:抱擁する男と女。それぞれの望み
 「パチンコ必勝法」:ノーベル賞の博士がパチンコ台に挑み、人だかり
 「マリコちゃん」:少女雑誌の表紙の女の子が自分そっくりだと気づく
 「ユリコちゃん」:死んだと気付かないお父さん
 「サチコちゃん」:お母さんが襲ってくる夢を見る
 「ユミコちゃん」:目の不自由なユミコの家に二人のお客さん
 「きつね」:狐が化けて出るという小道を歩く二人の少年
 「たぬき」:夜の森を急いでいると、叫びながら走ってくる娘たち
 「コドモのカミサマ」:コドモのカミサマがバチをアててコマる
 「ウイスキーの神様」:ファッションの女神様を待ち続けるウイスキーの神様
 「神様と仏さま」:神様と仏さまが対立する
 「池猫」:池に捨てられた子猫
 「飛び猫」:工事現場に現れた洞窟。変わった猫がみつかる
 「お助け」:自分以外の人間がのろのろになる
 「疑似人間(ロボノイド)」:体を少しずつ人工のものにしながら数百歳となる
 「ベルト・ウエーの女」:ベルト・ウエーで見かけた女性に恋をし、会おうとする
 「火星にきた男」:火星に住んでいると思い込んでいる男
 「差別」:黒ん坊だからと薬を売ってくれない
 「到着」:「ペチャッ」と音をたてて次々と惑星が潰れていく
 「遊民の街」:四十年間の教育を終えるも人工の天才達に職を奪われる
 「無人警察」:新たにお目見えした新型巡査ロボットに付き纏われる
 「にぎやかな未来」:町はCMで溢れ、ラジオの音楽も三十秒に一度CM

 この中で気に入ったのをピックアップすると、「腸はどこへいった」「亭主調理法」「地下鉄の笑い」「到着」「にぎやかな未来」の5つです。
 「亭主調理法」は映画の演出手法であるカットバックを、ユーモラスな方向に使っていると思います。
 「到着」は5行ぐらいのとてもショートショートですが、これだけ短いとなんだかポエムみたいです。
 ちなみに、巻末の解説が星新一というのも良いですね。

●断筆宣言
 収録作品に含まれている「無人警察」が高校の教科書に載ったのがきっかけで、ある団体から猛烈な抗議を受け、筒井康隆の断筆宣言まで発展したそうです。
 詳しくはググってください。
 これがきっかけか知りませんが、『にぎやかな未来』は絶版状態になっているようです。