昔読んだのですが、再読。
 「ガンダムAGE」→(三世代)→「ファンタシースター3」→(世代宇宙船)→「宇宙の孤児」と連想して読みたくなりました。
「宇宙の孤児」「時の継承者」


●おおざっぱな内容
 世代宇宙船の話です。
 ただし、住民たちは自分が世代宇宙船に乗っているという意識はなく、〈船〉の内側が世界の全てだと思ってます。
 そして、一人の青年が〈船〉の外側が存在していると知ったことで……という話です。

●1941年の作品
 この作品が雑誌に掲載されたのは1941年だそうです。
 1941年というと第二次世界大戦中です。ドイツがV2ロケットを開発しているときで、まだ宇宙へ行くための打ち上げロケットもありません。
 そんな時期の作品ですが、世代宇宙船が目指す目的地が定番のケンタリウスだったりと、今でも十分通じる内容です。

●日本語なので少し気になる
 物語の序盤では住民たちが一種の叙述トリックのようなものに引っかかってる様が描かれています。
 例えば「〈船〉は〈遠くケンタウリ〉を目指して〈旅〉をしている」と言った感じのことが教典のように伝えられているのですが、これは読者にとってはそのままの意味でも、住民たちにとっては別の意味で捉えられています。〈旅〉は死後の世界に天国や地獄へ行くことで、〈遠くケンタウリ〉は天国や地獄のことと解釈されてます。
 つまり、言葉を別の意味に捉えたり、詩的に解釈されてます。そのことを読者に示すために意味が食い違う単語には〈〉を付けて書かれています。(原書では"")
 で、気になたのは、〈〉付のの単語が日本語に翻訳されていることです。英語だと複数の意味に取れる単語なのに、日本語に翻訳してしまうと一つの意味しかないということがあります。
 例えば、〈船長〉は英語では"Captain"です。「船長」以外にも「主将」「長」「組長」などの意味があります。正しくは「船長」なのですが、劇中の住民たちがどのように勘違いしているのか分かり難いかなと思いました。

●〈旅〉
 〈旅〉という単語が出てきますが、旅を意味する英単語は、travel, trip, journey, voyageの4つがあり、意味が微妙に違います。どうやら原書では"voyage"のようです。
 "voyage"の意味を調べてみると、そのものズバリ「宇宙飛行」という意味もあるそうです。無人宇宙探査機「ボイジャー」(Voyager)もこの単語が元になってます。
 これも日本語に翻訳されていると分かり難いことです。

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宇宙の孤児 (ハヤカワ文庫 SF 281)
ロバート A.ハインライン
早川書房
1978-02T