うえぽんSW局

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タグ:筒井康隆

ウィークエンド・シャッフル表紙


 『ウィークエンド・シャッフル』(筒井康隆)を読了。
 次の13編が収録された短編集です。

 『佇むひと』
 『如菩薩団』
 『「蝶」の硫黄島』
 『ジャップ鳥』
 『旗色不鮮明』
 『弁天さま』
 『モダン・シュニッツラー』
 『その情報は暗号』
 『生きている脳』
 『碧い底』
 『犬の町』
 『さなぎ』
 『ウィークエンド・シャッフル』




 これ以下は、内容紹介と感想のようなものです。ネタバレもあるかもしれないので注意。


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 『笑うな』(筒井康隆)を読了。

笑うな(新潮文庫)
筒井康隆
新潮社
2018-08-10



 ということで、その中から2編を4コマ漫画にしてみた。

【コミPo】「特効薬」「涙の対面」


 新薬がなかなか認可されないのは、こういう事情もあるからかもしれないと、たまに思う。
 「涙のご対面」は昔のテレビ番組が元ネタになってますが、それを知らないとピンッと来ないかもしれません。

●一行説明
 ネタバレなしで各作品を25文字以内で説明すると以下の通り。

 「笑うな」:タイムマシンが完成し、2人で笑い続ける
 「傷ついたのは誰の心」:家に帰ると妻がおまわりさんに寝取られている
 「悪魔を呼ぶ連中」:会社が倒産の危機。悪魔に魂を売るべく召還を試みる
 「最初の混線」:電話が混線し、過去の人と繋がる
 「遠泳」:大会を目指し、太鼓の音に合わせて遠泳の練習
 「客」:お客さんが訪れて家族全員が非常に大喜び
 「自動ピアノ」:社員ごとに違う音楽が流れるパンチカード
 「正義」:けたはずれに正義感の強い男が天国へ行く
 「夫婦」:四年前に姿を消した夫を人ごみの中に見つけ追いかける
 「帰宅」:二十年ぶりに戻ってきた彼に妻は目を輝かせる
 「見学」:社会科の授業で子供たちが警察署を見学
 「特効薬」:ガンの特効薬を発明するも発表を遅らせたいと申し出る
 「堕落」:断崖から足を滑らせて落下
 「涙の対面」:テレビの対面番組で父親が見つかる
 「流行」:女房と子供に頭が上がらないサラリーマン
 「セクション」:地質学の研究に没頭する博士。一方夫人は不倫を重ねる
 「廃墟」:どす黒い雲。黒土の大地。そこで暮らす四人
 「ある罪悪感」:奇妙な癖が消えては別の癖が現れる
 「赤いライオン」:精神科の博士が夢の中に現れた女を診断する
 「猫と真珠湾」:『私の小説作法』という小文を書く事となった流行作家
 「会いたい」:恋人が亡くなってからおかしな夢を見るようになる
 「接着剤」:企業PRのため釘のかわりに接着剤で建てた五重塔
 「駝鳥」:砂漠の中、生きた駝鳥を少しずつ食べ町を目指す
 「チョウ」:庭で捕まえたチョウがだんだん大きくなり有名になる
 「血みどろウサギ」:天体望遠鏡で月を観察。疑問をパパにぶつける
 「マイ・ホーム」:マイホーム計画を立て結婚するが、予想外の幸運が多発
 「ブルドッグ」:飼い犬の思考を読み取れることを犬に悟られる
 「トーチカ」:火星(おマル)で遊戦(ママゴト)してると地球に危機
 「座敷ぼっこ」:新学期になり女生徒の人数が一人増えているのに気付く
 「タック健在なり」:地球大統領補佐官の最終試験はタックとのデッドヒート
 「産気」:男なのに正田課長が妊娠
 「ハリウッド・ハリウッド」:映画好き高校生のために映画の神様が美女を出現させる
 「末世法華経」:日蓮が現代へタイムスリップしてきて学会を見学
 「ベムたちの消えた夜」:酒に酔ったSF作家が空飛ぶ円盤に遭遇して警察へ行く

 「末世法華経」の日蓮とか学会はあれのことです。
 「トーチカ」はルビの振り方が凄い作品で、最近のラノベかのように画像だけ紹介されることがありますが、『笑うな』収録の作品です。
「トーチカ」
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 『にぎやかな未来』(筒井康隆)を読了。

にぎやかな未来 (角川文庫)
筒井 康隆
KADOKAWA
2016-06-18



 ということで中から1編のあらすじを1ページ漫画で紹介。

【コミPo】「にぎやかな未来」


 ネットを見ていると、星新一作品だと間違って記憶していてこのタイトルが何だったか質問している人をたまーに見かけますが、筒井康隆作品です。
 無音の曲については『4分33秒』というのが実際にあったりします。
 4分33秒 - Wikipedia

●一行説明
 ネタバレなしで収録されている各作品を25文字以内で説明すると以下の通りです。

 「超能力」:おじさんに金をせびりに行くと、心の読み合いとなる
 「帰郷」:地球に帰郷した探検隊。季節があべこべなのに気づく
 「星は生きている」:人類未踏の星。それ自身が巨大な生物らしい
 「怪物たちの夜」:刑事が追う犯人の特徴は、腕が三本、指が六本
 「逃げろ」:10年後の俺に殺されるからと俺を殺しに来た青年
 「事業」:あるミュータントを観察した実験ノート
 「悪魔の契約」:悪魔との契約で大実力者となり、ついに寿命がつきる
 「わかれ」:妻との別れなので上司を脅して指輪を買う
 「最終兵器の漂流」:北極に隠してあった最終兵器が氷山ごと漂流する
 「腸はどこへいった」:三か月前から大便が出ないが、食欲旺盛
 「亭主調理法」:亭主を刺して殺してしまう
 「我輩の執念」:公団住宅の入居募集に落ち続けた男に遺産が舞い込む
 「幸福ですか?」:テレビの街頭インタビューを受け、手厚く答える
 「人形のいる街」:喫茶店でタレント同士のゴシップが企まれる
 「007入社す」:ジェームス・ボンドそっくりの新人が入社
 「踊る星」:踊り続ける星を発見した探査員がマスコミに転身
 「地下鉄の笑い」:IQ140以上ないとわからないユーモアポスター
 「ながい話」:宇宙教信者というお婆さんの話が止まらない
 「スペードの女王」:憧れの女性リリーを賭けたポーカー
 「欲望」:抱擁する男と女。それぞれの望み
 「パチンコ必勝法」:ノーベル賞の博士がパチンコ台に挑み、人だかり
 「マリコちゃん」:少女雑誌の表紙の女の子が自分そっくりだと気づく
 「ユリコちゃん」:死んだと気付かないお父さん
 「サチコちゃん」:お母さんが襲ってくる夢を見る
 「ユミコちゃん」:目の不自由なユミコの家に二人のお客さん
 「きつね」:狐が化けて出るという小道を歩く二人の少年
 「たぬき」:夜の森を急いでいると、叫びながら走ってくる娘たち
 「コドモのカミサマ」:コドモのカミサマがバチをアててコマる
 「ウイスキーの神様」:ファッションの女神様を待ち続けるウイスキーの神様
 「神様と仏さま」:神様と仏さまが対立する
 「池猫」:池に捨てられた子猫
 「飛び猫」:工事現場に現れた洞窟。変わった猫がみつかる
 「お助け」:自分以外の人間がのろのろになる
 「疑似人間(ロボノイド)」:体を少しずつ人工のものにしながら数百歳となる
 「ベルト・ウエーの女」:ベルト・ウエーで見かけた女性に恋をし、会おうとする
 「火星にきた男」:火星に住んでいると思い込んでいる男
 「差別」:黒ん坊だからと薬を売ってくれない
 「到着」:「ペチャッ」と音をたてて次々と惑星が潰れていく
 「遊民の街」:四十年間の教育を終えるも人工の天才達に職を奪われる
 「無人警察」:新たにお目見えした新型巡査ロボットに付き纏われる
 「にぎやかな未来」:町はCMで溢れ、ラジオの音楽も三十秒に一度CM

 この中で気に入ったのをピックアップすると、「腸はどこへいった」「亭主調理法」「地下鉄の笑い」「到着」「にぎやかな未来」の5つです。
 「亭主調理法」は映画の演出手法であるカットバックを、ユーモラスな方向に使っていると思います。
 「到着」は5行ぐらいのとてもショートショートですが、これだけ短いとなんだかポエムみたいです。
 ちなみに、巻末の解説が星新一というのも良いですね。

●断筆宣言
 収録作品に含まれている「無人警察」が高校の教科書に載ったのがきっかけで、ある団体から猛烈な抗議を受け、筒井康隆の断筆宣言まで発展したそうです。
 詳しくはググってください。
 これがきっかけか知りませんが、『にぎやかな未来』は絶版状態になっているようです。
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 全部で356編収録ということで、この数の多さから察することもできますが、ショートショートよりもさらに短いものばかりです。いわばアイデア集とかネタ帳といった感じのものです。

天狗の落し文
筒井 康隆
新潮社
2013-12-27



 なんと「盗作自由」とのことなので、今回は遠慮なく5つを漫画にしてみました。

【コミPo】「小学校(当時は国民学校

◆◇◆◇◆◇

【コミPo】「考える人」「猫の餌」

◆◇◆◇◆◇

【コミPo】「百数えるまで」「鳴くよ


 4コマにするとしたらどうするかと考えながら読んでましたが、意外と最近流行の日常系4コマみたいなのもあったりしました。「意外と」というのは筒井康隆というと強烈なものが多い印象だったからです。まあ強烈なのも多いですが

 最後にこの一編を引用しておきます。
 父親が死に、次いで妻の父親が死に、母親が死に、弟まで死んだ。これで妻の母親が死ねば、いよいよ次はおれの番だ。
 一方SF界では、広瀬正が死に、福島正実が死に、大伴昌司が死に、星新一が死に、光瀬龍が死に、半村良が死んだ。しかしまだ小松左京がいる。荒巻義雄がいる。他にも沢山いる。同い年だが眉村卓もいる。
 まだまだだ。
 
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 『富豪刑事』(筒井康隆)を読了。
 中編の連作小説なので、今回は1ページ漫画はなし。

富豪刑事 (新潮文庫)
筒井 康隆
新潮社
2011-06-01



 主人公は大富豪の刑事。単にお金持ちというわけではなく、そのお金持ち設定を活かして事件を解決するというミステリー小説。全四話で各話ごとにお金持ちの活かし方が違い趣向が凝らされてる。

 ミステリー小説はあまり読まないのでミステリーの部分についてはどうこう言えませんが、技巧が凝らされているのは分かります。その技巧がなかなか面白い。

 例えば、最初の話『富豪刑事の囮』では、映画でいうところのクロスカッティング(wikipedia)のような技法が使われてます。小説ではシーンの切り替えは一行空けて書くのが通常ですが、『富豪刑事の囮』では行を空けることなくシーンがどんどん切り替えられます。最終的には4人の容疑者が完全に同じ行動を取らされるのですが、一行ごとに切り替えることで4人の行動が完全にオーバーラップしています。

 他にも、時系列シャッフルなんてこともやってます。これによって、時系列順に読むか、ネタバレになるシーンを後回し読むか選べるようになってます。ミステリー小説として読みたい人は、バレを後回しにして読めばいいわけです。
 漫画のコマ割りで例えるとこんな感じ。

時系列シャッフル


 こういう時系列シャッフルは、今なら主人公にタイムリープ能力を持たせ、バレになる要素を読者から遠ざけるだろうな、と思ったが、よくよく考えたら筒井康隆は『時をかける少女』を書いた人ですね。おみそれしました。

 ちなみに自分は見たことないが、テレビドラマ化もされているそうな。小説版では男性だった主人公が、テレビドラマ版では女性(深田恭子)に変更されているとか。

富豪刑事デラックス DVD-BOX
夏八木勲
ワーナー・ホーム・ビデオ
2006-10-06

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